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undress

 ちょっと待ってて、という男の言葉に、わかりましたと答えたのは自分だ。自分だが、しかし。
 滅多に口にすることのない香り高いコーヒーを飲みながら、手持ち無沙汰に勉強用の資料を読み終えても、男の用事が終わる気配は微塵もない。
 ちょっと待てって、どのくらいがちょっとなんだ?
 無言で端末の画面に向かう男の後姿に、王泥喜は小さくため息を吐いた。
 裁判所で会ったこの部屋の主――響也に攫われるようにして、王泥喜はここに連れ込まれた。
 珍しくスーツを着込んでいた彼に魅入って口付けを受けてしまったのが悪かったのか、はたまた暇すぎる事務所に籍を置いているのが悪かったのか、ふわふわと甘い気分のまま、響也の職場へと足を踏み入れていた。
 陽はすでに沈み、窓の外は暗くなっている。この部屋に入ったのが午後二時すぎだったため、四時間は経過している計算だ。
 その間、響也との会話は一切ない。
 人払いされていたため、王泥喜は無言のまま二人でいるのに孤独で無為な時間を過ごしていた。
 いい加減、帰ってもいいかな……。
 何杯目かのコーヒーを啜りながら、王泥喜は物言わぬ男の背中をじっと見つめた。
 ジャケットを脱いでシャツの袖をめくり上げただけのシンプルな格好は、響也のスタイルの良さを十分に引き出している。
 裁判所のトイレでスーツを身に纏った彼の姿が目に飛び込んできたとき、正直なところ見惚れてしまった。
 普段が個性を丸出しにした服装であるがために、無個性なスーツを着るとこの人は格好いい人なんだなぁと、改めて認識させられた気分だった。
 同じ男として、少しだけ口惜しいと思う。
「んーっ!」
 複雑な思いを抱いたまま響也を見つめていると、不意にぐぐ、と伸びをしてくるりとこちらに身体を向けた。
「ごめんね、予想外に手間取った」
「……いえ」
 一仕事終えた響也の瞳には、柔らかいけれど、どこか獰猛な光を浮かんでいる。
 男の目だなぁ、と王泥喜はぼんやりと思った。
 そして彼と自分との間に横たわる、経験の違いをこんなところで少しだけ感じて、焦燥感を覚えた。
「あー、すっかり夜だね」
 王泥喜のコンプレックスをくすぐる男は、呑気に窓の外に視線を送ると、目を瞠った。
「四時間も待たせちゃったのか。本当にごめんね」
「いえ、勉強してましたし。気にしないでください」
「そういうわけにはいかないよ」
 今夜は奢らせてくれと生真面目な表情で言い募る響也が面白くて、王泥喜はわずかに顔を綻ばせた。
「珍しいもの見られましたから、大丈夫ですよ」
「珍しいもの?」
 何か面白いことでもあったっけ、と男は首を捻る。
「わかりません?」
「見当もつかない」
「じゃあ、秘密です」
 くすくすと笑みをこぼす王泥喜を、響也は口を尖らせて面白くなさそうに見つめていた。
 が、次の瞬間。
 にやり、と笑うと音もなく王泥喜の背後に回りこみ、ぎゅうぎゅうと渾身の力を込めて抱き締めた。
「意地悪すると、おしおきしちゃうよ?」
「は? ちょ、ちょっと離してくださいよ!」
「キミの離しては聞き飽きたよ」
 たまには抱きついてくれてもいいんじゃない、と冗談めかしながらも、甘い声を耳に吹き込んでくる男は、完全に王泥喜の弱いところを知り尽くしている。
 びくり、と身体を震わせて身を捩りながら、王泥喜は響也の腕から伝わる温度に、どこか安堵していた。
「ここをどこだと思ってるんです……!」
「ぼくの職場だね」
「わかってるんなら離してください」
「本当に嫌なら得意の大声を上げればいいよ。この時間なら、まだ人はたくさん残ってる」
「……ッ!」
「ぼくは見られてもいいけどね」
 キミがぼくの恋人だって、全世界に向けて発表したいくらいだから。
 非現実的な響也の台詞に、王泥喜は一瞬言葉を失った。
「な、に、馬鹿なこと……」
「馬鹿なことじゃあないよ。言いふらすことでもないけどさ」
 誰にも言えない関係なんて、惚気られなくてつまらないじゃないか、と響也は嘯いた。
「それが馬鹿なことじゃなくて、何が馬鹿なんです」
「大事なことじゃない?」
「……あいにく、そんなに経験がありませんので」
「じゃあこれから経験すればいい」
 ロッカーの癖にラテンな男は言うことが違うと、王泥喜はさっきとは違う意味で響也をまじまじと見つめた。
「そんな可愛い顔してどうしたの」
「牙琉検事……いつか言おうと思ってたんですけど」
「なんだい」
「男に可愛いは、褒め言葉じゃありません」
「そう?」
「そうです!」
「でもぼく、自分に嘘つくの嫌いだし」
 ぼくが可愛いと思ってるから、問題ないよと響也は笑う。
「そういう問題じゃあ、ないんですけど……」
 がくりと肩を落とした王泥喜は、脱力感に襲われて、不穏な動きを始めた男の手に気付くのが少し遅れた。
 王泥喜のYシャツの裾をたぐり、器用な指先が背に触れる。
「ちょっ……、何してるんですか」
「何ってナニ?」
 綺麗な顔をして、言うことは親父以下だ。
 王泥喜は軽蔑の眼差しで、響也を見遣った。
「あ、今ちょっと馬鹿にしてるでしょ」
「してますよ。今しなくていつするんです」
「素直じゃないキミも可愛いね」
「……素直ですよ。これ以上ないほど、ね」
 そうこうしている間にも、響也の悪戯な指は王泥喜の着衣を乱していく。
「ほんとにシャレになりませんて……!」
「だって欲しくなっちゃったんだ」
 響也の声は、存外に真面目だった。
「動物みたいだけど、今欲しい」
「……」
「だめ?」
 小首を傾げた響也に、王泥喜は努めて冷たく聞こえる声を作った。
「……可愛くありません」
「可愛くなくていいよ。可愛いのはおデコくんの専売特許だし」
「……だから嬉しくありませんって」
 王泥喜の捨て台詞は、真っ赤に染まった耳朶を食まれて、尻すぼみになって消える。
「ここ、防音効いてるから大丈夫だよ」
「外から丸見えじゃないですか!」
 王泥喜が叫んだ次の瞬間、ブラインドの下がる音が室内に低く響いた。リモコンで操作できるなんて、これだから金持ちは! と王泥喜は内心舌打ちする。
「他に問題は?」
「…………電気、消してください」
「んー、却下」
「何でですか!」
「だってオフィスラブっぽくていいじゃない、こういうのも。たまには、ね」
「〜〜〜ッ!」
 あまりにあまりな一言に、二の句が告げない。
「遊びですか、これ」
「違うよ?」
 愛の営みに決まってるじゃない、という響也の台詞に対する王泥喜の抗議の声は、背筋をすう、と辿る指先によって阻まれた。



「んっ……や、そこ……」
 ぴちゃり、という濡れた音は完璧な防音を誇る部屋の壁へと吸い込まれ、消えていく。
「うそつき……」
 ふふ、と笑うその吐息さえ、今の王泥喜にとっては過ぎる刺激となって、身体を苛んだ。
 響也と関係を結ぶようになってから、初めてその存在を主張するようになった乳首を、舌と歯で嬲られる。
 乳輪を前歯でざりざりと抉られ、王泥喜は思わず響也の頭を抱え込んだ。
 強い刺激を欲しているのは尖端なのに、周りばかりを責められてじれったさに腰が揺れた。
「そこ、じゃ、な……ッ」
「さっきやだって言ったのに」
 おデコくんはわがままだね、と甘く笑う男は、行為の最中は性格の悪さを表に出す。
 乱暴ではない強引さでもって、王泥喜の感覚をどんどん高めて突き落とすのだ。
「……ッ、ん、あ!」
 がぶり、と胸の突起を齧られるのと同時に、器用な男の指先は貝殻骨をたどり、絶妙な感覚で軽く爪を立ててくる。
 思わず甘い声が鼻から漏れて、羞恥に王泥喜は頬を染めた。
「おデコくん、やらしいね……」
 見てごらん?
 男の甘い声に促され、閉じていた瞳をゆっくりと開くと、上着を乱され響也の唾液に濡れた自分の肌が目に入る。そして自分の足元に傅くように膝で立つ男は相変わらずのスーツ姿で、王泥喜の羞恥をさらに煽った。
「前はこんなに敏感じゃなかったのにね」
 笑みを含んだ声音に、王泥喜は一矢報いようと息を整え、言い放った。
「アンタの、せい、……ッ」
「嬉しいこと言ってくれるね」
 当てこすったはずの言葉は、男を喜ばせただけで、何のダメージを与えられない。
「だからもっとしてあげる」
「そっちがしたいだけだ、ろ……!」
「……そうだよ?」
 パンツの上から、すでに大きく膨らんだ性器を撫で上げられて、もどかしい感触に王泥喜はゆっくりと頭を振った。
「も…や、だ……ッ」
 頭の中が破裂しそうだ。
 もやのかかった思考をフル稼働させて、王泥喜は身体を捻って男の手から逃れようとした。
「ああ、もう。だめだよ」
 しかしその抵抗は易々と腰を掴まれ、阻止される。
「何で逃げるの?」
 耳元に直接注ぎ込まれる響也の声は、王泥喜にとって麻薬にも等しい。柔らかな低音は、王泥喜の理性を徐々に、けれど確実に溶かしていく。
「何も考えられないようにしてあげるね……」
 ゆるゆると首を振るだけの王泥喜に、男は甘い言葉を投げかけ、ベルトのバックルに手をかけた。



 何も濡らすものがないから、濡らして?
 響也は長い指を王泥喜の口元に持っていき、口唇とするりと撫でる。
 そんなわずかな接触にも全身が震えるほどの感覚に襲われ、王泥喜は何も考えずに指を口中に迎え入れた。
「ん、んぐ、ふ、……」
 水かきから爪の先まで、丁寧に舌で辿る。
 たまに上あごを指の腹でくすぐられると、ぶるりと背筋に寒気にも似た快感が走った。
 無意識のうちにゆらゆらと腰が揺れ、先ほどまで弄られて絶頂を迎える直前で放置された性器から、ぽたりと雫が零れる。
 自らの手によってもたらされる快感に耽溺する王泥喜の姿は、響也の目を愉しませていた。
「ん……ッ、もう、いいよ」
 ありがとう。
 そう言って響也は、軽い口付けを口唇に落とす。
「膝ついて、後ろを向いてみて?」
 大人しく自分の指示に従う恋人の姿に、熱くならない男はいないだろう。響也の声は、わずかに上擦って掠れた。
 響也に尻を向けた王泥喜は、次に与えられるであろう刺激を待ち望んで、腰を震わせる。
 ちゅ、と可愛らしい音を立てて、尻たぶに響也の口唇が落ちてきた。その刺激にすらぴくりと反応を示す身体は、もはやコントロールの効かない状況にまで高ぶっていた。
 つるり、と指が一本挿入される。
 響也を何度となく迎え入れたことのある蕾は、さらなる刺激を求めて貪欲に咥え込んだ。
「あ、はぁ……ッ」
「焦らないで」
 欲しいだけ全部あげるから。
 背後からかけられる声に、王泥喜はぎゅうと拳を握り締める。
 慎重すぎるほどゆっくりと掻き回され、探られる。
 入口付近を指の腹でぐるりと一周撫で上げられ、引っ掻くように弾かれたその瞬間。
「ん、あ、あぁ、あ……ッ!」
 王泥喜の性器から、どろりとした精液が飛び出した。
 びくびくと背を震わせ、射精の感覚に溺れる王泥喜を響也は目を細めて見つめた。
「イッちゃった、ね……」
 前、触ってないのに。
 からかうような台詞に、王泥喜は頬を染めた。
「でもまだ足りない?」
「……ッ、は、ぃ」
「欲張りだね、おデコくんは」
「そ、んな……ひ、あッ!」
 するりと指を引き抜かれ、非難するような声が漏れる。
 しかし間を置かず今度は二本に増やされた指を与えられ、王泥喜は安堵にも似たため息を吐いた。
「もっともっとって言ってるみたい……」
 熱っぽい響也の囁きが、どこか遠い。
 身体がそこだけになったかのように、感覚がアナルに集中していた。
 指が弄る周辺を、ぞろりと新たな触覚が襲う。
「うあ、な、なに……?」
 柔らかく濡れた感触が何かわからず、王泥喜は鈍くなった思考を働かせた。そして正体に気付いたその刹那。
「や、だっ! やめ……ッ!」
 あまりのことに、思わず我に返って叫んだ。
 後ろを振り返って、想像通りの光景に目が眩む。
 自分の尻に顔を埋めて、丁寧に舐め回す響也と目が合い、羞恥に死にそうになった。
 ぴちゃり、とわざと音を立てて蕾を濡らしていく男はそんな王泥喜の姿を見て、咽喉の奥で低く笑う。
 濡れそぼった蕾から顔を離すと、銀糸がつぅと引かれて音もなく切れた。
「そろそろ……ぼくも限界」
 カチャリ、と着衣をくつろげると、響也は既に立ち上がった性器を二度擦り上げ、ぴたりと照準を定めた。
「う、あ、あぁ……あ!」
「ッ、キツ……!」
 もうちょっと緩めて?
 猛った響也自身とは裏腹に、どこまでも優しい声で懇願されて、王泥喜は必死になって深呼吸を繰り返す。
 ゆっくりとすべてを受け入れる頃には、王泥喜の性器もまた、大きく張り詰め蜜を滴らせていた。
 王泥喜が受け入れた物の大きさに慣れるまで、響也は動かずに我慢していた。時折、宥めるように胸の飾りを摘まみ爪で弾くと、その度に受け入れさせた場所がうねり、奥へと誘う。
「ん、は、ぁ……あ、あ!」
「そろそろ……動いても、いいかな、ッ」
 こくこくと声もなく頷く王泥喜の首筋を強く吸い、赤い刻印を刻むと、響也は絶頂に向かって、腰を強く使い始めた。



 あれから二度絶頂を極めて、心身ともに疲弊しきった王泥喜は、意識を失うようにして眠りについた。
 芳しいコーヒーの香りで目覚め、蕩けるような響也の眼差しに照れを覚えたのも一瞬のことで、男の発した第一声に眉を顰めた。
「後ろからしたのって初めて、だね」
「……」
 おはようも何もなく、いきなりそれか。
 王泥喜は響也を、軽蔑の眼差しで見つめた。
「なんか新鮮だったね」
 照れ笑いを浮かべて頬を染める響也は、はっきり言って浮かれている。
 そしてその浮かれっぷりと反比例するように、王泥喜の機嫌は下降の一途を辿っていた。
「明るい部屋の中で悶えるキミは可愛かったよ、おデコくん」
「……アンタ、馬鹿でしょう」
 王泥喜は世界で一番汚い物でも見るような目つきで響也を睨みつけ、酷使したせいで掠れた咽喉に鞭を入れて呟いた。
 響也はきょとん、とした顔で王泥喜の顔を見つめると小首を傾げ、「どうしたんだい、おデコくん」と、空気の読めない台詞を吐いた。
「アンタには羞恥心ってもんがないんですか!」
「ん?」
「新鮮だの悶えるだの……! 口に出していいことと悪いことがあるでしょう!」
「ぼくの感動を、ありのままに伝えたいと思ったんだけど……」
「あからさまっていうんです、そういうのは!」
 完全に調子の戻らない咽喉を精一杯に震わせて、王泥喜は叫び、むせた。
「ゲホッ、ゴホッ」
「あ、ああ……大丈夫かい、おデコくん」
 無理はダメだよ、あんなに喘いだんだから。
 響也の駄目押しの一言に、王泥喜は完全にヘソを曲げた。
「俺の服、どこですか」
「え? ああ、これだけど」
「ください」
「まだ着なくてもいいじゃ」
「く・だ・さ・い」
 鬼気迫る剣幕に、響也は思わず洋服を手渡した。
 そして無言のまま、もそもそと服を着込む王泥喜の周りを歩き回り、ちらちら視線を送ってくる。
 が、王泥喜は意にも介さずネクタイまできちんと締めると、荷物をまとめて出口へと足を向けた。
「ちょ、ちょっと待って!」
「……」
「何で帰っちゃうの!」
 バタバタと派手な足音を立ててドアの前まで来ると、響也は仁王立ちで王泥喜の進路を絶った。
「どいてください」
「だから! 何で帰っちゃうの?」
「……わからない人には言いたくありません」
「さっきまで、あんなに素直だったのに!」
 響也の発した台詞に、王泥喜の顔は真っ赤に染まり、わなわなと肩を震わせた。
「〜〜〜〜ッ! だから! そういうところが! 嫌なんです!」
「なんで!」
「デリカシーってもんがないんですか、アンタには!」
「キミの前では何も取り繕うことなんてできない、ただの男になるんだよ、ぼくは!」
「そんなとこだけ婉曲な表現で誤魔化さないでください!」
 ここが防音完備の部屋でよかったと、頭の隅でちらりと思いながら、王泥喜は叫んだ。
「セックスの感想だけじゃなくて、もっと他に言うことないんですかアンタは!」
「愛してる」
「……は?」
「いや、素直な気持ちを一言で表現してみたんだけど」
 どうかな。
 真面目な顔をして王泥喜を見下ろす響也は、やはり格好いい。格好いいがしかし、どこかずれている。王泥喜は改めて牙琉響也という人間を、認識し直した。
「おデコくん、キミはどうなの」
「は?」
「ぼくに何か言うことない?」
「いえ、別に」
「……」
 今度は響也が不機嫌そうに押し黙って、王泥喜の顔を睨みつけてくる。
 王泥喜は仕方ないなと肩を竦めると、ひょいと伸び上がって響也の頬に口付けた。
「これが答えです」
「え、え?」
「俺は誰かさんと違って口が上手くないので、これで勘弁してください」
 頬を染めながら響也の顔を見上げると、頬に手を当てるという妙に少女めいたポーズを取っていた。
「……っぱり」
「え?」
「やっぱりぼく、弁護士になろうかな……」
「はぁ?」
 突拍子もない響也の言葉に、王泥喜は気の抜けた声を発した。
「だっておデコくんと同じ職場にいられたら、こういうことが毎日できるってことだろう?」
「……」
「弁護士になるよ!」
 きらきらと目を輝かせて宣言した響也に、王泥喜は思わず怒鳴った。
「俺は嫌です!」
「何で!」
「身体が持ちません!」
 王泥喜の悲痛な叫びが響也の胸に届いたのか、否か。
 その後、牙琉検事が弁護士に転職したという話が、王泥喜にとっては幸いなことに、聞こえてくることはなかった。

2007.11.18発行:可能性の話 から再録

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